俳優は俳優だ (2013):映画短評
俳優は俳優だ (2013)演技力について考えさせられる異色の業界内幕もの
映画批評をしていて常々考えるのが「演技力」について。どの批評家にも個々の基準があると思うが、芝居の上手下手は見る側が判断する抽象的な概念だ。しかしメディアがある役者を「演技派」と絶賛すれば、それが事実として一人歩きし始めるし、その逆も然り。そもそも俳優という仕事は受け入れる観客あってのもので、単に演じるのが好きだから俳優になれるものではない。主人公オ・ヨンの栄枯盛衰を見ながら俳優のあり方そのもの、承認欲求が満たされた人間の傲慢さに思いを馳せてしまった。と同時に欲望渦巻く韓国芸能界の恐ろしさに目が点。キム・ギドク脚本だが、シン・ヨンシク監督なので絵面におどろおどろしさが無いのは好みが分かれそう。
この短評にはネタバレを含んでいます