リトルプリンス 星の王子さまと私 (2015):映画短評
リトルプリンス 星の王子さまと私 (2015)ライター2人の平均評価: 4
ちなみに鈴木梨央の吹き替えも凄すぎます。
『カンフー・パンダ』でも功夫映画の基本をきちんと踏まえたものづくりを見せたM.オズボーンらしく、偉大な原典の“その後”がひとつの「解釈」として成立している。なんといっても驚くべきはアニメーション技法の大胆な使い分けで、現代(に生きる少女から見た世界)は3D-CG、原作部分は切り紙アニメ&木工的風合いをみせるクレイと紙によるパペットアニメ。テグジュペリ自身の挿絵を活かしたパペット部分のユニークさはもちろん、CGキャラクターも実に細かい感情表現で、しっかりラストで両者が融合するのも感動的。システム的な現実を示す矩形&俯瞰の多用も、ネガティヴな意味合いを帯びてはいるがデザイン的にやたらとカッコいい!
"おとぎ話の描き直し"のコンセプトが技アリ!
"おとぎ話の描き直し"の流行の中、本作は原作の用い方がユニーク。他作品のように原作を新たに解釈するのではなく、原作の物語はそのまま変えずに、その外側に新たな物語を構築している。まず、主人公は原作とは別に設定。その主人公が原作を読むという形で、原作作を物語の中に取り込む。さらに、原作の登場人物が年月を経た姿で登場し、意外な形で主人公と遭遇する。その仕掛けが楽しい。
また、主人公が原作を読んでいるときに抱くイメージを、本編とは異なるストップモーション・アニメの技法で映像化。この映像の質感と色彩が素晴らしく、この手法で映像化された原作全編が見たくなる。