あと1センチの恋 (2014):映画短評
あと1センチの恋 (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
あと1センチ、されど1センチ。
かなり食傷気味な「純愛系ベストセラーの映画化」ってやつだがコレは一味違う。“あと1センチ”をクリアできなかったばかりにその後何年も身悶えするような、まどろっこしい恋愛を経験した人なら納得できる出来。12年間に渡るふたりの人生を、その時代を感じさせながらも微妙に外した音楽と、サクサクとリズミカルに乾いた語り口で綴っていくこのドイツ人監督、今後注目すべきかも。こうしたソウルメイト的運命論に則ったロマンティック・コメディでは『恋人たちの予感』という神作品があるけれど、嫌味のない二枚目で押しの弱そうなサム・クラフリンと、キュートで結構凛としたリリー・コリンズの組み合わせがまた人懐っこくてイイのだな。
恋愛とか結婚って結局、タイミングなんですね。
男女間に友情が成り立つか?は名作『恋人たちの予感』以前から議論されてきたテーマで、本作の主人公ロージー&アレックスも「想いを告げて友情を壊すのが嫌」なタイプ。だから彼らの間にはタイトル通りのすれ違いが長々と続くわけで、見事なまでのタイミングの悪さに苦笑。が、愛を成就するために超えなければならないハードルも「あるある〜」と思わせる程度で、見に覚えのある女性観客も多いはず。ロマンティック・コメディの定石通りの展開とはいえ、魅力的な主演2人への共感度が高いのは強みだ。特にリリー・コリンズが意外なコメディエンヌぶりで楽しませてくれる。ま、しかし、恋愛や結婚ってタイミングなんだなとしみじみ思いました。