ラブストーリーズ コナーの涙 (2013):映画短評
ラブストーリーズ コナーの涙 (2013)ライター2人の平均評価: 4
どちらか一本観る、というのは想定外な二部作。
この二部作、どちらを先に観るかでかなり感想が変わるだろう。僕は先にこちらを観たのだけれど、リニアに物語を把握するにはたぶん正解。ただこちらは「エリナー・リグビー」などという孤独を運命づけられたような名を持つ妻に去られたあと未練たらしくつきまとい、他の女にモーションかけられても「妻を愛してるから」なんて純愛ぶっちゃうコナー (J.マカヴォイ)と、ストーンズも来るようなレストランの経営者ながら若いヨメに去られて意気消沈の父(C.ハインズ)とのしみったれた男の話だからややダウナー系。ひとり超然とした友人役B.ヘイダーが際立って見える。それにしても本作最大の弱点は…二本を一本にまとめられなかったこと!
乗り越えられない悲しみに愛は負けるのだろうか?
恋愛を男女それぞれの視点から描く手法はラブコメに多いが、本作はさらにディープに離婚した夫婦の心模様を掘り下げる。深い愛で結ばれた夫婦がなぜ破局を迎えたのかを徐々に明らかにする展開だが、妻と夫それぞれの視点で物語を語ることで感情のすれ違いがくっきりと浮かび上がる演出に脱帽。同じ物事に対しても男女で異なる見方や感じ方、さらには記憶に生じるズレを映像で表現されると夫婦関係が修復不可能なのは明らかで、切なくなる。乗り越えられない悲しみの前では愛は無力なのだろうか? 脇を支える役者陣も達者だが、一瞬たりとも気を抜かないジェシカ・チャステイン&ジェイムズ・マカヴォイの熱演に目を奪われた。