杉原千畝 スギハラチウネ (2015):映画短評
杉原千畝 スギハラチウネ (2015)類い稀なる人物を描くノーマルな手法
原作は白石仁章著「杉原千畝−情報に賭けた外交官−」。当初は”日本のシンドラー”だけではない、これまで語られてこなかった側面から人物像に迫りたかったのだろう。
だが肝心なソ連から脅威に思われていた程の諜報能力の部分はフィクションでぼかし、家族愛やユダヤ難民を救ったエピソード、さらに製作委員の1社であるJTBネタなどをまんべんなく散らし、無難な偉人伝になってしまった。
製作委員会方式の弊害か。多くの人物が携わることで先鋭な脚本も角が取れてしまったのだろう。難民問題が取り沙汰されている今、我々は何をすべきか?を一考する機会になったのに。「感動した」とか「泣けた」で終わる作品にしない気概が欲しかった。
この短評にはネタバレを含んでいます