エレファント・ソング (2014):映画短評
エレファント・ソング (2014)グザヴィエ・ドランの「作家研究」には必須の一本
ゴダールなら『そして愛に至る』、W・アレンなら『ワイルド・マン・ブルース』など。作家性の強い監督が出演(被写体)のみに徹した時、他者の視点により当人のキャラが対象化され、むしろ本質がストレートに浮き出る事がある。
本作はドランにとってのまさにそれ。愛の飢えを抱えながら、鋭利な知性と感性を備え、大人たちを翻弄する小悪魔男子。彼自身が「これは僕だ」と言ってるだけあり、核にある精神性、そして本人のカリスマ性が全開で味わえる。
母親への愛憎など『マイ・マザー』から『Mommy/マミー』まで見られる主題もたくさん。オーソドックスな戯曲ベースの劇なので、ドラン作品の判りやすい副読本とも言えるかも。
この短評にはネタバレを含んでいます