真珠のボタン (2014):映画短評
真珠のボタン (2014)チリ・アタカマ砂漠から、西パタゴニアの海へ思索は流れる
ピノチェト独裁政権下の大虐殺が遺体の棄てられた「砂漠」と「海」をつなぐ。そして人間の営み、痛ましい愚行の歴史が「宇宙」と「水」という悠久の流れの中で捉えられる。グスマンが自ら二部作と定義する『光のノスタルジア』と『真珠のボタン』の連続公開を喜びたい。これは是非ともセットで観るべきだ。
SF小説が好きだった、との告白もあるが、グスマンが現実に向ける眼差しは常に寓意を含んでいる。彼自身の言葉を借りれば「すでにあったメタファー」を採取し、人類の罪と世界の起源を問い続ける。
この2本のドキュメンタリーが真に刻んでいるのは「思索の時間」だろう。まるでグスマンと心の中で対話しているような映画体験だ。
この短評にはネタバレを含んでいます