お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました (2015):映画短評
お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました (2015)ネイキッド・遠藤ミチロウ
泣ける。このセルフドキュメンタリーは遠藤ミチロウという稀代のミュージシャン・詩人・パフォーマーの持つ繊細さ、優しさ、永遠の青年性をよく伝えるものだと思う。再始動ザ・スターリン(Z & 246)などライヴ映像も充実しているが、魂の裸形が見える意味で「映画は人なり」の好例だ。
元々は還暦という節目に合わせていた私的なルーツ探究に3.11が重なったのは大きい。故郷、母という主題の浮上は寺山修司なども連想するが、旅は全く独自かつ我々にも共感可能なものとなる。ミチロウが口にするのは「中途半端である事のコンプレックス」。観る者は彼の“普通さ”に出会う。福島の実家を訪ねるくだりは本当“名場面”だ。
この短評にはネタバレを含んでいます