牡蠣工場 (2015):映画短評
牡蠣工場 (2015)食卓から牡蠣工場に思いをはせる
鑑賞後、スーパーに並んでいる生牡蠣の剥き身や缶詰のオイル漬けに目が留まるようになった。この身一つ一つを、冷たい水と硬い殻と格闘しながら剥いていたのか。無造作に料理に使い、口に運んでいたと猛省。しかも剥き身120gで約350円=殻付きの牡蠣1個。不条理だ。
食だけではない。便利さに慣れてしまった私たちは、往往にして私たちの手元に届くまでの過程を忘れがちだ。本作ではその現場で起こっている労働力不足、後継者の問題などを描いている。消費者である私たちの無関心が、こうした問題を引き起こしている要因の一つであることは言うまでもない。
想田監督の観察映画はいつも社会の片隅に光をあてる。その役割は大きい。
この短評にはネタバレを含んでいます