ヴィクトリア (2015):映画短評
ヴィクトリア (2015)ベルリンの街で設計された宙吊りの時間
深夜のクラブからストリートへ。いかにもヤバそうな男4人と、普通っぽい女子が1人……「今から何するの?」。いや、ちょっとマジで危ないって!
観る者の心をざわつかせる設定からスタートし、「全編ワンカット=リアルタイム進行」で140分引っぱる。『エルミタージュ幻想』『ライブテープ』『バードマン』など優れた先行例のある手法だが、クライム・サスペンスというジャンルに適用した点に拍手。さすがに後半は軋みや緩みが出るものの、前半の緊張感は上々で自転車に乗る流れなど見事!
映画は形式や野心が先行しすぎるとマジックを失う。本作はその罠を自覚し、堅実なプランでまとめた。過激さより、程良さや抑制こそが生命線だ。
この短評にはネタバレを含んでいます