台湾新電影時代 (2014):映画短評
台湾新電影時代 (2014)台湾新電影(ニューシネマ)は、未だ世界の新電影であり続ける
台湾ニューシネマの象徴だった楊徳昌に会ったことがある。95年、『エドワード・ヤンの恋愛時代』を携えて来日したときだ。有名な逸話ではあったが、愛する手塚治虫について熱く語るナマの声にドキドキしつつ耳を傾けた。もうひとりのシンボル、侯孝賢が岩松了さんと対談した際には貴重なお話をまとめる機会を得た。
それは04年、小津映画にオマージュを捧げた『珈琲時光』公開の頃。当ドキュメンタリーではその主演・浅野忠信や是枝裕和、黒沢清といった監督も登場。観ればこんな風に日本とのディープな関係に思いを馳せ、「自分にとっての台湾新電影」を語りなくなるだろう。亡き楊徳昌の“不在”の大きさを改めて噛みしめながら。
この短評にはネタバレを含んでいます