しゃぼん玉 (2017):映画短評
しゃぼん玉 (2017)古き良き日本の故郷への郷愁を掻き立てる小品佳作
荒れた生活を送っていた都会の若者が、偶然知り合った一人暮らしの老女のもとへ身を寄せ、素朴な田舎の人々の優しさと厳しさに触れる中で自分の生き方を見つめなおしていく。
ありがちな話ではあるものの、しかし本作の語り口はかなり好き。のどかな村の穏やかな日々の営みを淡々と映し出しながら、若者の心境の変化をさりげなく丁寧に汲み取っていく。説教がましくもなければ、押しつけがましくもない。その距離感が絶妙だ。
人情味があって飄々とした田舎のお婆ちゃんを演じる市原悦子も素敵。「まんが日本昔ばなし」第一世代としてはまさにツボですよ。失われつつある日本の原風景に、これほどマッチする女優さんは今ほかにいません。
この短評にはネタバレを含んでいます