アウトバーン (2016):映画短評
アウトバーン (2016)ライター3人の平均評価: 3
B級アクションの醍醐味が詰まった一本
堅気の恋人ができたことを機に裏稼業から足を洗おうとした若者が、皮肉にもその愛する女性を救うために再び犯罪に手を染めることになる。で、これが最後の仕事と決めた大博打の顛末が描かれるというわけだ。
2つの犯罪組織の裏をかいて大金をせしめるという展開を含め、ストーリー自体は極めてありがちだが、その凡庸さをキャラクターの面白さで補っている。中でもベン・キングスレー扮するクスリでイカれたマフィアのボスは傑作だ。
最大の見せ場である後半の逃走劇もなかなかのスピード感。ドイツのアウトバーンを舞台にしたカー・スタントは、短いながらも迫力十分だ。B級アクションのお手本とも言うべき小品佳作。
『ビトレイヤー』の監督作ですから。
ニコラス・ホルト繋がりでいえば、あのままニュークスが赤毛の花嫁・ケイパブルと幸せになるものの、なんだかんだでウォーボーイズに出戻りしてしまう話。つまり、チンピラあるあるストーリーなのだが、イモータン・ジョーにあたるボスキャラがベン・キングズレー。なぜかホルトをバート・レイノルズと呼び、好きな映画はエアロビ映画『パーフェクト』なトンデモ・キャラがツボる。アウトバーンなどでのカーアクションは意外と少なく、モノ足りなさもあるが、相変わらずウブなホルトの“ケルン純愛物語”としては十分楽しめる。この小品感、ジェームズ・マカヴォイの熱血刑事っぷりが光った『ビトレイヤー』の監督と聞けば、妙に納得です!
ニコラス・ホルト、まだ爆走中!
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」ではウォーボーイズの白塗り顔で改造車を爆走させていたニコラス・ホルトが、今度は素顔でヨーロッパの高級車を乗り回し放題! どっちにしてもフルの速度でとにかく飛ばすことが身上だが、こちらの映画では知恵も使ってみせる。容赦なく踊らせるドイツ産テクノのノリで、ビートが長く持続して、ここで終わりかと思うたびにまた先が。巨大な銃弾が、分厚い金属板を穿つ。金属の塊同士が衝突して歪む。速いのに、重い。加えてキャストが豪華スギ。アンソニー・ホプキンスの静かな威圧、ベン・キングズレーのオチャメな凶暴、フェリシティ・ジョーンズの一筋縄ではいかない美女ぶりも楽しい。