めぐりあう日 (2015):映画短評
めぐりあう日 (2015)ふれあう、その切なさを美しい映像と音で表現した秀作
映像と音の繊細な融合という点で、ウニー・ルコント監督は初長編作『冬の小鳥』を越えてみせた。ここには美しさと緊張がみなぎっている。
ドラマは『冬の小鳥』と同様に監督の生い立ちを反映した、孤児の女性の母親探し。探しても探してもルーツにたどりつかない彼女の苛立ちは自身の息子との関係もぎくしゃくさせる。不幸話といえばそれまでだが、フォルムの美しさを体感すれば、それもまったく気にならない。
とりわけ印象的なのは、理学療法士のヒロインが実の母とは知らず施術する場面だ。静かに高まる音楽に乗って、母の肉体にふれるヒロインの手。ふれあうことの重い意味を考えさせると同時に、その切なさに圧倒される。
この短評にはネタバレを含んでいます