アンフレンデッド (2015):映画短評
アンフレンデッド (2015)ライター3人の平均評価: 3.3
SNS世代のボディカウントムービー
オンラインのグループ通話中に自殺した友人のアカウントが出現。やがて仲良しグループの偽善が次々と暴かれ、一人また一人と殺されていく。
SNS時代のボディカウントムービーであり、ストーリーの全てがヒロインのPC画面上で展開するという点ではPOV映画の進化系とも言える。登場人物たちを映すのはウェブカメラのみ。細部まで緻密に計算されて作られていることはよく分かる。
ただ、スカイプにフェイスブックにインスタグラムなどなど、幾つものSNSが次々と切り替わったり同時表示される上、そこに日本語字幕が被ってくるため、画面がちょっと見づらいという印象は否めない。スクリーンの近くで鑑賞したほうがいいかも。
オカルトはとっかかり、真の恐怖はSNSにあり
PC画面のみで構成された映画というと『ブラック・ハッカー』があるが、同作の主人公がPCを持ち不自然なほど動き回っていたのに対し、このスリラーは主人公が自室からほぼ動かない。
自殺した友人のアカウントのSNS上への出現にオカルトを匂わせつつも、ネット利用時の密室性はきわめて現実的。そんなトーンゆえにヒロインと友人たちの偽善があぶり出されると霊よりも恐ろしくなる。
恐怖が尾を引くのもいい。偽善が明らかになった瞬間、SNS上の友人たちが手のひらを反してディスる、ディスる。しかし、この連中も偽善者か?そんな恐怖のループを引き起こす、技ありの佳作。
ネット発の事件をパソコン画面だけで描く。この発想が大胆
ネットに端を発する物語を、ネット接続中のパソコンの画面上のみで描く、というコンセプトが大胆。それをほぼ実現した映像が新鮮。ネットいじめによって自殺した女子高生のアカウントが、友人たちがSkype中の画面に出現。謎解きストーリーでもあり、彼女の死の真相が次第に明らかになっていく。
ちなみに、監督レヴァン・ガブリアーゼは旧ソ連生まれで、カルトSF映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」でバイオリンケースを持ち歩いている学生を演じた人物。ティムール・ベクマンベトフの製作会社でのCM監督を経て、本作が劇場映画4作目。あの映画に出演した人物が今はこういう映画を撮っている、という現実にも何かドラマが感じられる。