トレジャー オトナタチの贈り物。 (2015):映画短評
トレジャー オトナタチの贈り物。 (2015)宝探しから見えてくる大人が子供へ伝えるべきこと
広がる経済格差と高い失業率に苦しむルーマニアを舞台に、生活に困った2人の男が宝探しに人生の一発逆転を賭ける。
一つの鍵となるのは、主人公コスティが幼い息子に読んで聞かせる「ロビン・フッド」の物語。おとぎ話にキラキラと目を輝かせる我が子に、先行きの見えない社会でも夢を見ることだって叶えることだって出来ることを、身を持って示そうとする父親の姿が描かれるのだ。
と同時に、お宝を巡るエピソードによってルーマニア近代史を振り返りながら、国の将来を担う若い世代に大人が何を伝えるべきか考えさせる。極めてスローな語り口と淡々としたユーモアは恐らく観客を選ぶだろうが、ユニークな視点を持った作品ではある。
この短評にはネタバレを含んでいます