マリアンヌ (2016):映画短評
マリアンヌ (2016)ライター3人の平均評価: 3
名作へのオマージュ溢れるハリウッドの正統派スター映画
これぞまさしくハリウッド王道のスター映画であり、伝統的なメロドラマ映画。メジャー・スタジオがこの種の映画を作ることも、近頃はすっかり珍しくなった。そういう意味では、映画ファンとして大いに歓迎したい一本と言えよう。
第二次大戦の最中、異国のカサブランカで諜報活動に当たった男女が結ばれ結婚するも、やがて妻にドイツ二重スパイの嫌疑がかかる。果たして疑惑は本当なのか?
前半は『カサブランカ』への壮大なオマージュ。後半はヒッチコックばりのサスペンス。奇をてらわなさすぎるストーリー展開は物足りないが、ブラピとマリオンの完全無欠な美男美女ぶり、丁寧に再現された当時のレトロな時代感は見応え十分だ。
ダンディなブラピに惚れ直す
ナチスの脅威に立ち向かうブラピといえば、『イングロリアス・バスターズ』のレイン中尉が思い浮かぶが、今回はおふざけ一切なし(ただ、今回もなぜかアウグスト・ディールとカードゲームするシーンがアリ)。『カサブランカ』のオマージュから始まる“ど”が付くほどのメロドラマだが、スティーヴン・ナイトにしては「妻・マリアンヌには二重スパイの疑いがある…」だけを引っ張った脚本はどうかと思う。とはいえ、あの時代ならではの世界観にどっぷり浸らせてくれるのは、職人ロバート・ゼメキスら豪華スタッフに、ジャレッド・ハリスら芸達者の功績あってこそ。『白い帽子の女』にガッカリした人ほど、ブラピに惚れ直す可能性も高し!
こういうメロドラマ+サスペンス、かなり好き!
第二次大戦中のカサブランカでカナダ人兵士とフランス人パルチザンが任務のために組む冒頭からわくわく。『カサブランカ』な香りが漂う。しかも“吊り橋効果”(?)で結ばれた二人の愛に裏切りと疑惑というヒッチコック風なサスペンスも加わり、メロくてスリリングで「どうなるの?」と目が離せない。読んだことないけどハーレークイン小説風なのかも。ブラッド・ピットは心理描写があまり上手じゃない俳優だが、愛妻への疑惑を晴らそうと必死になる終盤の苦悩の表情に胸しめつけられる女性は多いはず。そうそう、マリオン・コティヤールの衣装もため息が出るほど素敵。というか、素敵すぎてドラマへの集中力を削ぐかも。