プラネタリウム (2016):映画短評
プラネタリウム (2016)ライター2人の平均評価: 3
映画とオカルトが共鳴し合い、耽美的かつ詩的な構成で魅了する
美しきアメリカ人姉妹が煌びやかで妖しげな1930年代パリに居場所を得て、時代に翻弄される。ストーリー性は脆弱だが、強烈なイメージの対比による耽美的かつ詩的な構成で惹き付ける。霊感が強い妹、降霊術で魅了する姉、姉妹を映画界に招き入れる出自不明のプロデューサー。存在しないものとの交感を希求するという意味において映画とオカルトが共鳴し合う。そこへ忍び寄る史上最悪の共同幻想の影――。死者に近づいた妹の代償。浮世を忘れ神秘主義にのめり込んでいったプロデューサーの運命。生きるための手段として虚構と交わった姉の流転。銀行家から転身した女性監督レベッカ・ズロトヴスキの映画への憧憬と畏怖が結実している。
人間とはかくも惑わされやすい生き物なのか
第二次世界大戦前夜のパリを訪れた美しきアメリカ人霊能者姉妹と、彼女たちの才能に魅せられた映画製作者の数奇な運命。物語の核心となるのは、姉妹の霊能力が本物かどうかという点だが、しかし最後までハッキリとしない。だからこそ、人々は彼女たちに好奇の目を向け賛否両論を巻き起こす。
一方、本名を偽ったユダヤ人の映画製作者は、それゆえにあらぬ噂を立てられ、やがて外国人排斥の標的となる。人間とはかくも惑わされやすい生き物なのか、根拠のない妄信とはいかに危険なものなのか。平坦なストーリー展開は忍耐力を要するものの、戦雲立ち込める’30年代の欧州に混沌とした現代社会が重なる点は興味深い。耽美的な映像も魅力。