汚れたミルク/あるセールスマンの告発 (2014):映画短評
汚れたミルク/あるセールスマンの告発 (2014)くっきり骨太なメッセージ
続けて公開となる『サラエヴォの銃声』が緻密な設計を見せるのに対し、こちらはえらく大ぶりな作りのタノヴィッチ作品。善良な庶民の出世物語、からぐるっと反転して告発劇が進む展開はO・ストーン的、あるいは今井正か。インド映画チームとのコラボも影響しているのか、愚直だが太い筆致。
モデルの事件は90年代のもので、粉ミルクに特化して本作を捉えると誤解も生じる気がする。あくまでグローバル企業と医療の結託、食品と健康、「最たる被害者は子供」ってことについて、数々のドキュメンタリーが伝えてきた問題の本質を改めて俎上に載せている感じ。基本は直球勝負だが、ユニークなのは映画作家の信念を重ねたメタ構造の部分だろう。
この短評にはネタバレを含んでいます