残されし大地 (2016):映画短評
残されし大地 (2016)福島に生きる人々の日常から日本人古来の伝統的精神を知る
福島の避難指示解除準備区域に住み続ける人々の日常と生き様を記録したベルギーのドキュメンタリー映画である。
おのずと原発政策を推し進めた国や東電への痛烈な批判が証言として溢れ出すものの、しかしそこは本作の核心ではない。自分ではどうしようもない何か大きな運命の波に直面した時、あなただったらどうするだろうか?という問いを見る者に投げかけるのだ。
そして、“残されし大地”の豊かで逞しい生命力を通して、人間がどれだけ自然の恩恵により生かされているのかを再認識し、原発事故によって失われたものの大きさを思い知る。我々は今一度、八百万の神を頂いてきた日本人古来の精神に立ち戻るべきなのかもしれない。
この短評にはネタバレを含んでいます