ブレンダンとケルズの秘密 (2009):映画短評
ブレンダンとケルズの秘密 (2009)「動く絵本」のアニメーションは永遠に不滅です
ケルト・キリスト教の少年修道士が、ノルマン人(ヴァイキング)の襲来を背景に不思議な冒険を繰り広げる。中世初期のアイルランドで、ナショナルカラーの緑を基調とした色彩が幻想的に乱舞する75分。『ソング・オブ・ザ・シー』の若手監督トム・ムーアの長編第一作。やはり手描きメインの作画を堪能させる。
観ながら郷愁に導かれるのは1960~70年代……いや「昭和40年代」の実験性と大衆性を兼ね備えたアニメの記憶と重なるからだろう。むろん今の技術が可能にした画面も多いし、密度も高いのだが、音楽で言うとスカスカな演奏や音像の味に近い。ハリウッド流儀のCGへのカウンター、というよりある種解毒剤として必要な映画だ。
この短評にはネタバレを含んでいます