裁き (2014):映画短評
裁き (2014)これは共謀罪の成立した日本社会の未来像でもある
民謡を通して権力の不正や横暴を痛烈に批判し、虐げられた民衆の声を代弁する65歳の歌手が、自殺を扇動したという根拠のない罪状で逮捕され、終わりの見えない裁判地獄を経験することとなる。インドの腐敗した司法制度に斬り込んだ作品だが、しかし共謀罪が強引に可決されてしまった今、日本人にとっても決して他人事ではない話だと言えよう。
警察による威圧的な捜査に証拠の捏造、権力に物申す人間をテロリストと決めつける検察官。案の定というか、彼らが根拠として持ち出すのが共謀罪だ。そうした空気の中で多くの庶民は無関心に陥るか、恐怖で口をつぐんでしまう。そんなインドの現状に、日本の未来像が見えてしまうのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます