悪と仮面のルール (2017):映画短評
悪と仮面のルール (2017)荒唐無稽な設定に真実味を持たせるだけのパワーが足りない
悪の心を代々受け継ぐ家系に生まれた男が、その望まざる伝統の継承に抗いつつも、愛する女性を危険から守るために罪を重ねていく。原作の予備知識がないこともあって、もっとダークで血生臭いサイコスリラーを予想していたのだが、どちらかというとサスペンス仕立てのラブストーリーといった趣きだ。
テロや戦争などの絶対悪が蔓延る世の中にあって、愛ゆえに人を殺める主人公の行為は果たして悪と呼べるのか?という点が本作の核心だと言えよう。荒唐無稽な設定はともかくとして、そこに真実味を持たせるだけのパワーが乏しく、雰囲気先行で上滑りしがちな印象は否めない。題材や視点が興味深いだけに、その食い足りなさが惜しまれる。
この短評にはネタバレを含んでいます