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悪と仮面のルール (2017):映画短評

悪と仮面のルール (2017)

2018年1月13日公開 138分

悪と仮面のルール
(C) 中村文則/講談社 (C) 2017「悪と仮面のルール」製作委員会
なかざわひでゆき

荒唐無稽な設定に真実味を持たせるだけのパワーが足りない

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 悪の心を代々受け継ぐ家系に生まれた男が、その望まざる伝統の継承に抗いつつも、愛する女性を危険から守るために罪を重ねていく。原作の予備知識がないこともあって、もっとダークで血生臭いサイコスリラーを予想していたのだが、どちらかというとサスペンス仕立てのラブストーリーといった趣きだ。
 テロや戦争などの絶対悪が蔓延る世の中にあって、愛ゆえに人を殺める主人公の行為は果たして悪と呼べるのか?という点が本作の核心だと言えよう。荒唐無稽な設定はともかくとして、そこに真実味を持たせるだけのパワーが乏しく、雰囲気先行で上滑りしがちな印象は否めない。題材や視点が興味深いだけに、その食い足りなさが惜しまれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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