ボンジュール、アン (2016):映画短評
ボンジュール、アン (2016)ガツガツしない押しと引き。これが大人ロマンスの醍醐味
カンヌからパリへ夫の友人ジャックに車で送ってもらうことになった人妻アンの新発見に満ちたロードトリップが楽しい。案内人がフランス男なので「オラが国」自慢の風景と美食、リュミエール研究所と寄り道が続く。でも観光よりも気になるのが男女関係。ジャックは親友の妻アンの気を引こうと策を弄し、アンも魅力的に受け流す。ガツガツせずに押しと引きを楽しむ、これぞ大人ロマンスの醍醐味で、エレノア・コッポラ監督が卓抜たる人間観察力を発揮する。夫に放置されている寂しさを感じるアンを演じるダイアン・レインが美しすぎるのがややリアリティに欠けるが、夫の監督作『ワン・フロム・ザ・ハート』に通じる男女の機微ににんまり。
この短評にはネタバレを含んでいます