スターシップ9 (2016):映画短評
スターシップ9 (2016)ライター2人の平均評価: 3
破滅と逃走。アメリカン・ニューシネマ×トワイライトゾーン
汚れて居住不能になりつつある地球の代替惑星を探す、女性宇宙飛行士の孤独な旅。オマージュ作品を明らかにしてしまうと、たちまちネタバレになりそうだ。このスペイン&コロンビア製作の近未来SFは、低予算ながら、ひねりの効いた脚本と堅実な人間描写で『トワイライトゾーン』的なセンス・オブ・ワンダーを感じさせてくれる。破滅を前にして人間性を求める逃走というテーマからは、アメリカン・ニューシネマ的な匂いも漂う。製作費を浪費した『パッセンジャー』のメインスタッフが、本作から学ぶことは多いはずだ。
'70年代のアート系SF映画を彷彿とさせる小品
スペースシャトルでたった一人、移住先の惑星を目指して銀河系を旅する女性。しかし、ある人物が乗り込んできたことから、この宇宙旅行の裏に隠された驚愕の真実と壮大な陰謀の全容が暴かれていく。
珍しいスペイン産(厳密にはコロンビアとの合作)の本格SF映画。ネタバレになりかねないので具体的な作品名は伏せるが、フィリップ・K・ディックやマイケル・クライトンからの影響はあからさまに濃厚だ。
それゆえ、特に中盤で真相が明かされてからの逃亡劇は既視感が強く、尻つぼみになってしまったような印象は否めない。それでも、’70年代前半のアート系SF映画を彷彿とさせる、どこか懐かしいレトロな雰囲気は悪くない。