ミスター・ガガ 心と身体を解き放つダンス (2015):映画短評
ミスター・ガガ 心と身体を解き放つダンス (2015)眠った本能を刺激する、ドキュメンタリーの神髄
この映画が肉薄する振付家オハッド・ナハリンは、一般的知名度は低いかも。しかし、マーサ・グレアム、モーリス・ベジャールといった錚々たる才能との関係も切り取り、20世紀のダンスの歴史を俯瞰する感慨すら味わえる。ナハリンのユニークな振付作品(亡き妻が日本人だったので日本テイストな演出も!)を含め、ダンスファンには大満足の内容だ。
しかし、そこで終わらないのが今作の美点。ナハリンが「非ダンサー」と行うワークショップで開花させるのは、原始の頃より人間に秘められた踊る本能。感性が目覚める瞬間に名振付家も、われわれ観客も肉体の奇跡を信じる。数あるダンスのドキュメンタリー映画の中でも、最高レベルの一作。
この短評にはネタバレを含んでいます