ブリムストーン (2016):映画短評
ブリムストーン (2016)レオーネ×ヴァ―ホーヴェン=西部女性残酷史
西部開拓時代のアメリカ。言葉を喋れぬ母親の前に1人の牧師が現われたことから、彼女の壮絶な過去が明かされていく。
神と聖書と拳銃を振りかざして女性を服従させ、弄び、凌辱する男たち。地獄の苦しみを生き抜いたヒロインは、非業の死を遂げた女たちの声なき声を背負い、男社会の理不尽に銃口を向ける。大西部の雄大な自然を捉えた映像美、観客の神経をあえて逆撫でする暴力描写。さながらセルジョ・レオーネとポール・ヴァ―ホーヴェンの融合だ。
幼児虐待にペドフェリア、レイプ、拷問。凄惨な物語の根底に流れるのは強固なフェミニズム。欧州では大絶賛の一方、米国では非難轟々らしいが、不愉快なのは痛いところを突かれた証か。
この短評にはネタバレを含んでいます