リビング ザ ゲーム (2016):映画短評
リビング ザ ゲーム (2016)プロゲーマーの葛藤が露わになる人間味あふれるドキュメンタリー
「eスポーツ」という名称で脚光を浴びるプロゲーマーの世界を掘り下げたドキュメンタリーの秀作だ。巨額の賞金を掲げる構造への認識が深まるだけではない。日本、台湾、フランスの伝説のゲーマーに光を当て、勝敗を競い合う彼らの姿に肉薄するカメラが、生き様のドラマへ導入する。ナレーションはなく、ただ彼らが吐露する言葉と表情によって、ゲームに懸ける青春が露わになるのだ。世間的には“遊び”と見做されるゲームで飯を食うことへの葛藤、結婚を逡巡するゲーマーのカップル…長期間の取材と被写体との距離が可能にする人間味あふれる瞬間の数々に、思わず親近感を抱いてしまう。プロを目指す若者にとっても、重要な作品となるだろう。
この短評にはネタバレを含んでいます