モダン・ラブ (2017):映画短評
モダン・ラブ (2017)失意と絶望からの再生を描く上質な愛のファンタジー
これはなんとも不思議な味わいの、しかし極めて上質な愛のファンタジーだ。新惑星の発見に端を発する不可解な現象が各地で起きる中、5年前に失踪した恋人への想いを断ち切れないでいる女性が、その恋人と今まさに出会おうとしている時間軸の自分、恋人が死んでしまった時間軸の自分と遭遇してしまう。
一種のパラレルワールド物なのだが、そのSF的な設定をヒロインの複雑な感情を多角的に映し出す手段として機能させ、失意と絶望からの再生という普遍的なテーマを鮮やかに浮かび上がらせる。主演・稲村梓のフランス女優を彷彿とさせる洗練された艶めかしさと豊かな表現力も、昨今の日本映画には稀有な魅力だと言えよう。
この短評にはネタバレを含んでいます