ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命 (2016):映画短評
ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命 (2016)「再開発」をめぐる最良のバランスを目指すべき議論
A・フリント著/渡邉泰彦訳『ジェイコブズ対モーゼス』の映画化というべき内容。書籍と同様、進歩主義(の頽廃)と、草の根的なカウンターが対立軸に置かれ、後者のジェイコブズ側に立つ視座。だが「悪役」=ロバート・モーゼスの存在感のでかさが単純な図式からはみ出してくるのがポイントだ。
ル・コルビュジェの都市構想を大衆化・具体化し、インフラ整備したモーゼスの「初心」の恩恵を、実のところ我々はたっぷり受けている。トップダウンとボトムアップの衝突ではなく、協同・止揚した先に探るべき未来像があるのだろう。W・アレンの『マンハッタン』が「美しい」と称した79年のNYも実質両者せめぎ合いの途中経過だって事だ。
この短評にはネタバレを含んでいます