エンジェル、見えない恋人 (2016):映画短評
エンジェル、見えない恋人 (2016)夢を見ているような映像が見えないものを見せてくれる
ずっと夢を見ているような感覚に陥る。映像が、つねに柔らかな明るい色彩のままぼんやりとした質感なので、目が覚めかけているときにこれは夢だとどこかで認識しながら見ている夢のように見えてくる。ベルギー幻想派という単語を連想してしまうのは、ベルギー生まれの監督がベルギーで撮ったことと、姿が見えない少年の存在を認める2人の女性、彼の母と恋人がどちらも妖精のような容貌だからかもしれない。
姿を消すのが得意なマジシャンに恋する娘。彼女が生む姿が見えない男の子。彼が出会う目の見えない少女。そんな"見えない"ものに溢れた物語を、観客の"見る"という体験に翻案する大胆な試みが静かに結実している。
この短評にはネタバレを含んでいます