ワイルド・ストーム (2018):映画短評
ワイルド・ストーム (2018)ライター4人の平均評価: 3
「午後ロー」好きの心をくすぐるツッコミ映画
“『フラッド』ハリケーン版”な初期設定から、実際に大洪水も起こる超展開。“銃弾切れ”の件など、2018年の映画には思えないツッコミどころ満載の脚本もたまらないが、キャスティングの弱さがネック。戦うセキュリティを演じるマギー・グレイスはいいとして、主人公のトラウマ気象学者が『キングコング:髑髏島の巨神』で“カオナシもどき”にパックリいかれたトビー・ケベルでは、いかんせん華がない。しかも、彼が操る特殊車両ドミネーターの見せ場も、コンボイに持っていかれ、タイタス(『イントゥ・ザ・ストーム』)に遠く及ばず。そんな“惜しい”の連続だけに、「午後ロー」好きの心をくすぐる一本である。
ワイスピ1作目監督の、オレオレ映画!
監督つながりで決まった邦題で「なんちゃって」感が強い映画と覚悟して観たところ、たしかに前半は、とってつけたような会話、安っぽい悪役グループで予想どおりのノリ。ストーム=嵐は脇ネタだが、ぶっとんだ過激さは徐々に加速する。強風を利用して投げる武器攻撃や、人間の上空への吸い上げ。CGじゃなくセットが壊れている(ように見える)アナログ的感触がいい感じ。しかし気がつくとストームに関係ないカーアクションに戻ってたりと、ロブ・コーエン監督、「ワイスピの元祖は俺が作ったんだぜ!」とばかりに、今や特大フランチャイズになったシリーズへの対抗意識が見え見えで、微笑ましくもあり。つまり結論として、邦題は大正解!
頭をからっぽにして楽しみたい災害パニック×強盗アクション
西海岸の港町に史上最大級の巨大ハリケーンが迫る中、その混乱に乗じて強盗計画を企てた武装集団と、彼らの犯行を阻止しようとする男女3人の戦いを描く。『ツイスター』や『イントゥ・ザ・ストーム』ばりの災害パニックに、裏切り裏切られの集団強盗アクションを力技で合体させた、一粒で二度美味しい(?)作品である。まあ、かなり大味な仕上がりではあるものの、嵐に洪水に銃撃戦にカーチェイスにと派手な見せ場は盛りだくさんだし、生真面目な弟トビー・ケベルと不真面目な兄ライアン・クワンテンの男気溢れる兄弟愛も意外に胸アツだ。全米では大コケしたらしいが、いや、普通に面白いぞ。頭からっぽにして楽しみたい人向きですな。
ド派手な暴風雨と共に人間ドラマも加熱する
空前絶後の巨大ハリケーンが到来する中、6億ドルの強奪作戦を決行、ド派手なディザスター映像と現金強奪の攻防戦のスリルの映画なのだが、思ったより人間ドラマあり。キャストも見かける顔ばかりで、「96時間」シリーズの主人公の娘役マギー・グレイスが美女に成長、性格がキツくて豪腕の保安担当役に。彼女が出会う気象学者は「猿の惑星」シリーズの悪猿コバ役のトビー・ケベル。彼の兄役は「トゥルー・ブラッド」でヒロインの困った兄を演じたライアン・クワンテン。悪役には「ウィッチ」の父親役も怖かったラルフ・アイネソンら。暴風雨が激しさを増す中で、個性派キャラがぶつかり合い、兄弟愛と裏切り合いのドラマが加熱する。