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ホイットニー ~オールウェイズ・ラヴ・ユー~ (2018):映画短評

ホイットニー ~オールウェイズ・ラヴ・ユー~ (2018)

2019年1月4日公開 120分

ホイットニー ~オールウェイズ・ラヴ・ユー~
(C) 2018 WH Films Ltd

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

山縣みどり

歌姫の人生って、山あり谷あり

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

美人でスリムで、抜群の歌唱力を持つ大型新人としてデビューしたホイットニー。K・マクドナルド監督は、歌姫が堕ちていった軌跡を辿りつつ、さまざまな原因を容赦なく暴く。誘引となった家族の証言や本人の発言も赤裸々で、ホイットニーの人生が決して華美なだけでなかったと実感する。メディアが作り上げた虚像ホイットニーの真実を伝える作品で、どん底にいたときの彼女の切なさたるや。同じ境遇にあったMJとの交友や幼児期の傷など身近な人しか知らなかった事実も明らかになる点を含め、実にオーセンティックな伝記映画と言える。頂点を極めたら、あとは落ちるだけなのか? エンタメ関係者やアイドル志願者は必見!

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

真摯な姿勢でディーヴァの素顔に迫るドキュメンタリー

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ホイットニー・ヒューストンの家族および財団が全面協力した、2時間におよぶ長編ドキュメンタリー。これまでも彼女のキャリアにフォーカスしたドキュメンタリーは存在したが、今回が初蔵出しとなるホームビデオ映像をたっぷり使用した本作は、より素顔のホイットニーに肉薄していると言えよう。娘と孫を相次いで亡くして生気を失った母シシー、ドラッグに関する証言を頑なに拒むボビー・ブラウンなどハッとする場面もありつつ、これまで語られなかったショッキングな秘密がサラリと明かされるなど、家族・友人と撮影スタッフの信頼関係あってこその濃密なインタビューは、ケヴィン・マクドナルド監督の題材に対する真摯な姿勢を伺わせる。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

人間ドラマとして重量級の衝撃

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『アリー/スター誕生』を観た時、古典的なスターシステムに則った成功譚の有効性において、日米のリアリティの差は結構あるんだなあと実感した。ただあの物語と比較しても、ホイットニーが体現した芸能の泥臭さは紛れもなく「20世紀」的だ。しかもSNSの時代まで延長した事で、光と影が極端に、グロテスクなまでに拡大した例のように思う。

音楽はともかく、といった感じでホイットニーの実情を掘っていく“社会派”K・マクドナルド監督の容赦なさは正直エグいほど。本作で最も美しいのは、『ボディガード』の黒人社会におけるエポックな歴史的意義(『ドゥ・ザ・ライト・シング』に負けぬほど!)を実証していく箇所かもしれない。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

後半の運命には、胸が張り裂けそうになる

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ボビー・ブラウンとの「格差婚」あたりから、自分を失い、クスリに溺れていく歌姫の姿はとにかく痛ましく、体型が完全に崩れ、声も満足に出ない状態でのステージ映像は、涙が出るほどに切ない。スターの転落と復活への思いは、同時期公開中の『アリー/ スター誕生』とシンクロする部分も多く、併せて観ることをオススメする。

ホイットニーが初めて才能を知らしめたTV番組で歌ったのが、ミュージカル「ザ・ウィズ」の「Home」。これは作品内で2度流れ、彼女が最後までHome=居場所を探していた事実を考えさせ、感慨深い。もちろん全盛期のボーカルは改めて聴いても圧倒的なパワーで、天才がこの世にいない喪失感に浸ってしまう。

この短評にはネタバレを含んでいます
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