We Margiela マルジェラと私たち (2017):映画短評
We Margiela マルジェラと私たち (2017)過剰露出の時代だから、孤高のファッション哲学が新鮮
タグの四隅を止めた白いスティチがシグニチャーなブランド「マルタン・マルジェラ」。革命的ファッションで一世を風靡したデザイナーが業界を去った真相が明かされると期待したが、そんなゴシッピーな興味は吹き飛んだ。マルジェラを支えたスタッフらの証言で構成される本作からは、クリエイターとしての創造の苦悩やファッションとビジネスの危ういバランスが如実に伝わってくる。浅薄なものと思われがちなファッションだが、美を作り上げるのは至難の技。名声に溺れずに、自分を貫いたマルジェラのファッション哲学にはひれ伏すのみ。過剰露出が善(?)とされる現代で匿名性を守る彼の生き方にも感動した。
この短評にはネタバレを含んでいます