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バハールの涙 (2018):映画短評

バハールの涙 (2018)

2019年1月19日公開 111分

バハールの涙
(C) 2018 - Maneki Films - Wild Bunch - Arches Films - Gapbusters - 20 Steps Productions - RTBF (Television belge)

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

山縣みどり

演技とは思えないリアリティにひきこまれた

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

ISISの元性奴隷ナディア・ムラド氏が昨年、ノーベル平和賞に輝いたことは記憶に新しい。ニュースで見聞きするだけでもおぞましい事態に見舞われた女性の実態や恐怖が怖いくらいにわかるのが本作だ。ヒロインは敵に略奪された息子を探す元性奴隷で、同様の身の上の女性たちと女性部隊を結成するクルド人だ。彼女が銃をとるに至った軌跡と戦いを取材するフランス人記者もまた戦いで夫を亡くした身で、言葉にこそしないものの戦争を憎む二人の思いがビシバシと伝わってくる。緊張感溢れる戦場で自らの尊厳と愛する人々、そして平和のために戦う女性兵士の強いこと。もちろん女優が演じているのだが、演者が作り上げたリアリティが圧巻だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

ISと戦う実在のクルド人女性部隊をモデルにした力作

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 対ISのクルド人女性部隊は以前日本でも報道されたが、これはその彼女たちをモデルにした作品だ。主人公はヤズディ教徒のクルド人女性バハール。故郷の町をISに襲撃された彼女は、夫を含む男性住民を虐殺され、幼い息子を奪われ、自らも7000人の女性と共に性奴隷として売り飛ばされる。そして、この世の地獄をかいくぐって脱走し、女性戦闘員に志願したのだ。そんな彼女の生き様を、戦場で片目を失いながらも真実の報道に命を懸ける女性ジャーナリストとの友情を通して描く。浮かび上がるのは、家父長的社会で女性の置かれた理不尽な境遇だ。舌足らずで不完全な部分は否めない作品だが、それでもなお胸を打つに十分な説得力がある。

この短評にはネタバレを含んでいます
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