HELLO WORLD (2019):映画短評
HELLO WORLD (2019)ライター3人の平均評価: 4.3
なんと舞台となる高校は僕の母校でした。
青春ラノベ的にみえるが、かなりのハードSF指向。主人公が10年後の自分と出会って判明する設定をまず基本的なものとして、クライマックスまでに判明するさらなる設定と、惹句にある「ラスト1秒」の設定を脳内で組みあわせていかねばならず、正直SFに慣れてない人は辛いんじゃないか。だから『インセプション』や『サマー・ウォーズ』ぽい部分的なヴィジュアルにばかり目がいくのが容易に想像できるのだが。でも何より個人的に微笑ましいのは、SFにハマり始めたばかり(まだ本棚にはディックやイーガンなど数冊しかない)の少年が「僕はSFが好きだ!」って真っ直ぐ宣言し、本を武器に(!)闘うというブッキッシュな青臭さだ。
疾走する京都大作戦!
ある意味「ドラえもん」×「未来日記」であるが、「ソードアート・オンライン」の伊藤智彦監督作という意味で、ヴァーチャルな世界観は裏切らないし、ブッ飛んだ展開など、『インセプション』オマージュも入った野崎まどテイスト全開ということもあり、これぞセカイ系SFアニメといえるボリューム感。『キミスイ』コンビ+パディントンによるC.V.も文句なし。そして、あまりに既視感が強いためか、フル3Dアニメであることを逆手に取った展開や構造など、そのスゴさにあまり気付かせないことが逆にスゴい。ただ、ヒゲダンなど、豪華なメンツを起用した挿入歌の使い方については、新海誠作品には及ばすといったところか。
長編アニメーションだからこそ
ポスト『天気の子』と言った作品ですが、伊藤智彦監督がかかわった細田守監督の『サマーウォーズ』などのイメージも強い作品です。
入れ子構造で複雑な部分があるのですが、それをアニメーションという手法で乗り切っています。
前半部分のラブコメと後半のダイナミックな展開とでガラッと映画の様相が変わりますが、それもまたこの手法ならではと言えるでしょう。
気鋭のアーティストが揃った2027Soundの音楽も心地よいです。