多十郎殉愛記 (2019):映画短評
多十郎殉愛記 (2019)泥臭いが、色気もたっぷりのチャンバラ映画
生死の瀬戸際に追い込まれ、ようやく愛を知ることになる主人公を全身全霊で演じる高良健吾はもちろんだが、理由アリな居酒屋の女将を演じる多部未華子も、ただならぬ色気を放つ。『HINOKIO』「デカワンコ」に次ぐ、まさに女優として転機の一作といえるだろう。東映京都撮影所を知り尽くした中島貞夫監督が、その空間をフルに生かし、今あえてこのキャスティングで、今風のスタイリッシュな百人斬りとは縁遠い、泥臭いチャンバラ映画を撮り上げたことに拍手を送りたい(『太秦ライムライト』コンビも登場!)。売りになっているラスト30分はさておき、93分という尺もプログラムピクチャー感を一層醸し出している。
この短評にはネタバレを含んでいます