イップ・マン外伝 マスターZ (2018):映画短評
イップ・マン外伝 マスターZ (2018)ライター4人の平均評価: 4.3
激しくもしなやかなアクションに目が釘付け
人気シリーズの最新作の主役はドニー・イェンではなく、注目度上昇中のマックス・チャン! 詠春拳の正当性を巡る対決でイップ・マンに敗れた張天志役でも抜群の身体能力を披露した彼がまたまた、激しくもしなやかなカンフーで魅了してくれる。物語は定番だが、一度は捨てた武術を今度は正義の戦いのために使う張天志と息子の父子愛などグッとくるポイントも多い。またミシェル・ヨー姐さんが久々にアクション演技に復活していて、50代半ばとは思えない美技でスクリーンを支配する。スピードもキレもデビュー時から少しも衰えてない、奇跡の女優だ。アクション監督も監督もユエン・ウーピンだし、とにかくカンフー技が堪能できる。
大好き(単体鑑賞も無問題!)
ずっぽりハマった。なんせマックス・チャンが最高! 『継承』の退場の続きで今や市井のパパとなった『クレイマー、クレイマー』の系譜。一線から降りた設定のせいか、いい具合に油が抜けた色気を醸し出す。むろんカンフーは美麗! そしてミシェル・ヨー! 熟年のボス役ながら一度動けばキレッキレのアクションヒロイン。ひたすら痺れる。
『イップ・マン』本編は史実ベースの一大サーガだが、本作は完全創作スピンオフの軽さがプログラムピクチャー的な人懐っこさとテンポ感を付与させた気がする。監督はユエン・ウーピン。『ドランクモンキー 酔拳』等に夢中だった少年期の感動と興奮が蘇る。筆者にとってコレは「香港映画的に完璧」だ。
スピンオフとしての醍醐味を堪能!
意外な苦労人、マックス・チャンが背中で語る子連れ狼、チョン・ティンチをふたたび好演。シリーズおなじみの外人枠に、デイヴ・バウティスタを迎えるほか、姉弟子にあたるミシェル・ヨーの参戦や『イップ・マン 継承』でマイク・タイソンの手下だったパトリック・タムが相変わらず話を引っ掻き回すなど、スピンオフとしての醍醐味を堪能ができる。4作目の公開が期待される本家にはかなわないが、ユエン・ウーピン監督の職人的演出は、ときにベタ、ときに歯止めがきかなくなる香港映画の美味しいとこ取りであり、シリーズと別のハーマン・ヤウ監督による『誕生』『最終章』レベルの満足度を得られるだろう。
マックス・チャンの強さとカッコよさに痺れない人はいないだろう
師から弟子へ、その教えは長い時を経て最高の作品で実を結んだ。ユエン・ウーピンがスタントから育てたマックス・チャンが、満を持してそのウーピン監督作で主役を任され、指先にまで魂は宿り、相手を見据える眼光に一切の緩みはない。足技は極限の柔軟性を駆使する。久々にカンフーの「キレ」をスクリーンで体感した。
ミシェル・ヨーとの華麗なダンスのような戦い、デイヴ・バウティスタが仕掛けるプロレス技、空間を自在に移動するチェイスなど、あらゆるレベルのアクションが用意され、それが主人公の再生ドラマにしっかり意味をなす。過剰な復讐行為も辞さない主人公のダークな面も心をざわめかせ、全編、エネルギーは途切れない。