英雄は嘘がお好き (2017):映画短評
英雄は嘘がお好き (2017)ライター2人の平均評価: 3.5
軽妙洒脱でクラシカルなフレンチ・コメディ
19世紀のフランスを舞台に、戦場へ出征したまま消息のない婚約者の身を案じる妹を心配した姉が、彼からの手紙を捏造して書き続けたところ、ついつい調子に乗って冒険活劇のような英雄像を作り上げてしまう。それから数年後、死んだはずの婚約者が舞い戻ったから大変!捏造された英雄伝説を金稼ぎに悪用する婚約者と、それを止めようにも今さら私がウソをつきましたと言えない姉による珍騒動が巻き起こる。見栄を張ったり欲をかいたりすると罰が当たりますよ!という教訓。スラップスティックなギャグを散りばめつつ、『おとなの恋の測り方』のローラン・ティラール監督らしい、軽妙洒脱でクラシカルなフレンチ・コメディに仕上がっている。
コメディ演技でメラニー・ロランのチャーミングさが際立つ
妹のためを思って戦地の婚約者のふりをして書いた嘘の恋文が巻き起こす大騒動を描く、ある意味クラシックなラブコメ。はっきり言って、最初から最後まで予想通りだし、ギャグも定番な感じ。ただし、メラニー・ロランのコメディ演技と彼女が着こなすドレスやアクセサリーは必見! もともとちょっとした表情の変化でキャラクターの心情を見事に表現する女優だが、今回は表情が目まぐるしく変わる上、大げさな喜怒哀楽がチャーミング。時代を先取りしたフェミニスト発言も知的な彼女だから説得力ありだし、いい加減な口だけ男を演じたJ・デュダルジャンと好対照だ。