マイ・ビューティフル・ランドレット (1985):映画短評
マイ・ビューティフル・ランドレット (1985)むしろタイムリーなリバイバル上映
ダニエル・デイ=ルイスの出世作が35年ぶりでスクリーンに甦る。パキスタン系二世の若者と白人パンク青年の同性愛を描いたラブストーリーだが、今となってはその背景にある移民や貧困などの社会問題に見るべきものがあると言えよう。困窮した白人たちが勤勉な移民労働者を憎悪し排斥しようとする光景は、まさしくブレグジットに揺れる現代の英国社会と何ら変わらない。さらに、人口減少によって移民政策が本格化する一方、外国人技能研修制度や入管施設の問題が次々と浮上する日本においても、劇中で描かれる差別や対立の構造は、だんだんと他人事に思えなくなりつつある。そういう意味で、非常にタイムリーなリバイバル上映だ。
この短評にはネタバレを含んでいます