映像研には手を出すな！ (2020)：映画短評

空想力から“最強の世界”を生み出す意味で、『前田建設ファンタジー営業部』と同じベクトルの原作であり、今回の『劇場版』ではロボ研とのコラボが中心となるだけに、英勉監督が真骨頂を発揮。TVシリーズから続く、モブキャラ愛も随所に炸裂するなか、ちょっと変わった手法で語られるダイジェストや浜辺美波演じる謎すぎるオリジナルキャラの参戦など、とにかくお祭り感が満載だ。主演の乃木坂3人娘では、女優としてまだ未知数だった梅澤美波が金森氏のキャラに新たな魅力を加え、大健闘。板垣瑞生の振り切った芝居も面白いことになっており、先の「アニメ版」にはかなわないものの、かなり見応えある仕上がりに。

　ＴＶドラマ版を見ていなくても楽しめたのは、原作コミックを読んでいたせいもあるが、やはり女優陣の魅力を無視するワケにはいかない。

　齋藤飛鳥も山下美月もコメディエンヌとしてチャーミングで、思春期の不器用さや勘違いをソツなく体現。一方で、彼女たちの手綱を握る梅澤美波のしっかり者ぶりが強調され、お笑い色の強い映画の中でやたらとかっこよく、クールな異彩を放つ。原作ではかわいげを感じないキャラだが、これを光らせたのが上手い。

　不要と思えるエピソードもなくはないが、コミック2巻の泣かせどころを心得た心憎いつくり。学園祭を行なえない2020年の学園祭シーズンにアツいものを伝えるエンタメとしても〇。

『あさひなぐ』を筆頭に乃木坂46とのコラボを続けてきた英勉監督作品なだけあって、アイドルの活かし方が良くわかっている。
ちょっとした突飛とリアルの延長線が交わったあたりの世界ではアイドルと言う存在はとても映えるし、活きる。
乃木坂の3人以外にも小西桜子、福本莉子、桜田ひより、浜辺美波などなど若手の主演クラスがどんどん出てきて贅沢感もある。ドラマを見ていた方がより楽しめるが、ここから入って遡るのでも充分楽しめる。
アイドル映画かくあるべきと言った一本