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花束みたいな恋をした (2020):映画短評

花束みたいな恋をした (2020)

2021年1月29日公開 124分

花束みたいな恋をした
(C) 2021『花束みたいな恋をした』製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

くれい響

『(500)日のサマー』ならぬ“5年の絹”

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

押井守の存在をきっかけに、一気に距離感が縮まった20代の男女の5年間。今回もおびただしい数の固有名詞と膨大なセリフ量によって埋め尽くされた坂元裕二による脚本は、「モテキ」延長戦といえるサブカルカップル戦記を描写。そこに「カルテット」でも組んだ土井裕泰監督による『罪の声』でも披露した軽快かつ丁寧な演出がプラスされ、とてつもない破壊力を持つ一作へと変貌。まさに、『(500)日のサマー』ならぬ“(5年)の絹”だけに、みんな絹役の有村架純が愛おしくなる、まさかの魔法がかけられる! 等身大の恋愛映画というワードでは片づけられない、“アンチ『糸』”な人間ほど、どハマり必至な124分といえる。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

感情移入させまくる設定。だからこそ、あえて言いたいことも

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

特に前半、かなりのシーンでモノローグがかぶる。感情はもちろん、「●●を食べた」とか観てればわかる状況まで強迫観念のように続く饒舌さは、「2人の日記」という意図だそうだが、登場人物の気持ちを想像する「映画の豊かさ」は失われていく。

もう1点、押井守で始まる、2人が繰り出す「知ってるとカッコいい」固有名詞の数々が、彼らのオシャレ感覚を伝えるが、では彼らが本当に何が好きなのか判然としない。流行を記号的に追う薄っぺらさへと変貌する。

それらが気にならなければ、出会いから、ときめき、共同生活の幸福感、仕事や人生観も含めた、思いのすれ違い…と、5年間の運命は、最高の恋愛映画となるだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

恋のツボを押す脚本と役者の好演が光る

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

好きな本や映画が同じで、感性の似たカップルの変化を丹念に描き、恋愛したことがある人なら納得なポイント満載。恋を自覚したばかりのドキドキ、想いが通じてラブmaxへと至る心境、就職という現実によって感じ始めるズレからの小さなイライラ……。坂元裕二の脚本が恋のツボを的確に押す。恋愛当事者のさまざまに変わりゆく心もようを見事に描写していて、説得力あり。特に別れる時の男女の対応の差がリアル! 有村架純と菅田将暉が演じる等身大カップルは、最後まで見届けたくなる好感度の高さだ。永遠と思っていた恋愛感情や情熱は実は徐々に薄れるわけで、それをいつかは枯れてしまう花束に例えたタイトルがまた素敵だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

みんなの恋の物語

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

特に何かが起こるわけでもない普通の恋の話だからこそ、特別な恋の物語になった映画。
何気ない言葉と感情のやり取りに一喜一憂する菅田将暉と有村架純の姿はいつかの貴女(貴方)です。
花束の花は人それぞれですが、この物語は皆が持っていたものです。
恋をすることがどれだけ輝き、素的なものであるを再確認することができました。
取り合えずグーグルアースの地元チェックとイヤホンは忘れずにちゃんと両耳にはめるようにします。映画の半券が栞になるのはありありのようでうれしかったです。

この短評にはネタバレを含んでいます
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