ADVERTISEMENT

映画 えんとつ町のプペル (2020):映画短評

映画 えんとつ町のプペル (2020)

2020年12月25日公開 100分

映画 えんとつ町のプペル
(C) 西野亮廣/「映画えんとつ町のプペル」製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

なかざわひでゆき

出る杭になって社会を変えることの大切さ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 えんとつの煙によって外界から隔絶された町。人々は外の世界を知ろうともせず、お上の言うことに黙って従い、夢や希望を語る者をバカにしてその口を塞ぎ、異質な者を嫌って排除しようとする。そんな日本社会の閉塞感を投影したような架空の世界を舞台に、煙で覆われた空の向こうに星があることを証明しようとする少年の大冒険が描かれる。出る杭になって社会を変えることの大切さを訴えるストーリーの普遍性も然ることながら、レトロフューチャーでマジカルなビジュアルの世界観、躍動感と疾走感に溢れたアニメーション表現にも目を奪われる。停滞し後退するばかりの今の日本で、生まれるべくして生まれた作品とも言えよう。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

「宝町」と化したえんとつ町

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

原作者が実体験する「出る杭は打たれる」な社会的テーマ性や、『海獣の子供』からスゴいことになった芦田愛菜やジャイアンキャラもイケることを実証した伊藤沙莉など、ジブリを狙った俳優中心のボイスキャストの好演が光る。ただ、町を統治する中央銀行とレジスタンスとの関係性など、より世界感を広げたことで、絵本原作の持つオリジナリティが失われてしまった感アリ。なにしろ、えんとつ町は道頓堀入った「宝町」で、そこで健気に生きるプぺルとルビッチは「クロとシロ」。そんなSTUDIO 4℃での制作を適材適所と取るか、『鉄コン筋クリート』の呪縛から逃れられなかった、と取るかで評価は大きく変わってくる。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

子供向けの絵本が原作だが、大人にも響く物語

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

環境汚染や独裁国家を思わせる状況にある不思議な場所で起きるファンタジックな物語は、子供向けの絵本が原作だが、大人にも響く。原作の絵も素敵だと思うが、アニメ版は愛らしい絵柄になっていて、“信じる勇気が、未来を変える”という少年少女に向けたメッセージがより伝わりやすいように感じた。声優陣もキャラにマッチしていて、本人の顔を思い浮かべることなく物語にすんなり入り込めた。冒頭のハロウィーン場面でのダンスがアニメとは思えない迫力だし、物語の一部となっている劇中歌の使い方が素晴らしい。映像も洗練されているし、アニメはどんどん進化しているなぁ。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

アニメーション映画にした意味がある

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

あの絵本はまだまだ序章というか入り口でしかなかったんですね。大きく広がった物語に圧倒されました。
音楽の使い方もミュージカルを思わせる画とのシンクロの仕方で、見ていてとても楽しくなります。
STUDIO4℃が初めて長編作で3DCGに挑んだと言うことでも注目の一本ですが、流石!と言いたくなるほどダイナミックで躍動感にあふれた画が続きます。一方で重層的な風景描写などの“静”の部分でも目が離せなくなります。ボイスキャストも適材適所、特に時に気の抜けたようにも聞こえる窪田正孝の好演と立川志の輔による終盤の口上は聞きごたえがあります。絵本からアニメーションへの転身にしっかりとした意味を感じました。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT