お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方 (2021):映画短評
お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方 (2021)ライター2人の平均評価: 3.5
終活を巡って熟年夫婦のバトル勃発!
自分では何もやらない・出来ないくせに口うるさく家の中を仕切ろうとする夫と、そんな旦那に「あたしはあんたの母親でも家政婦でもない!」と不満が爆発寸前の妻。ある日、元気なうちに身辺整理をと考えた妻が葬儀社の就活フェアに申し込んだところ、縁起でもない!と腹を立てた夫とのバトルが勃発する。昭和の価値観に凝り固まった関白亭主の悲哀を醸し出す橋爪功、幾つになってもエネルギッシュな女性の逞しさを体現する高畑淳子の芝居はコミカルでありながらもリアル!いやー、こういう熟年夫婦いるわー、ってかこれうちの両親じゃね!?と思わず苦笑いしてしまう。高齢化社会における夫婦のあり方を考察した映画としても面白い。
まるで『家族はつらいよ』のような、
“終活”という、パッと見ネガティブなテーマを扱いながら、夫目線と妻目線、双方から描かれる熟年夫婦の日常に、終盤にかけての銀婚式での騒動をめぐるドタバタ劇。家長役が橋爪功だけに、『家族はつらいよ』シリーズか!?と錯覚してしまうほどのベタコメディである。さらに、ふたたび水野勝&剛力彩芽のヤングコンビを迎えた『新デコトラの鷲』に続く、香月秀之監督作ということもあり、分かりやすい人情味溢れる展開も……。葬儀社の宣伝映画になっていないのもいいが、「なぜ、こんなところで?」と、いかにも取り繕ったセリフが、ときどき発せられるのは疑問。そこを気にしなければ、サクッと見れます。