鬼手(キシュ) (2019):映画短評
鬼手(キシュ) (2019)ライター3人の平均評価: 3.7
血みどろの囲碁デス・マッチを描く韓流ノワールの怪作
「ボードゲーム(囲碁)×血みどろバイオレンス」という新ジャンル(?)を確立した韓流ノワール『神の一手』のスピンオフ。幼い頃に姉と師匠を相次いで殺された主人公が、山寺にこもって血の滲むような凄まじい修行を積み、精神的にも肉体的にも無敵の棋士へと成長、宿敵たちに次々と復讐の囲碁マッチを仕掛けていく。前作以上に強烈な極悪キャラのオンパレード。ある時は列車の通過する鉄橋の線路上で、ある時はオカルト・パワーの持ち主を相手に、ある時は殺傷能力を備えた特殊な碁盤を使って、文字通り命がけのデス・マッチが展開する。もちろん格闘アクションも盛りだくさん。千葉真一の「殺人拳」シリーズばりに狂ってます。
懐かしのVシネ感がたまらない!
刀を碁石に持ち替えた武侠映画で、「哭きの竜」「アカギ」のような劇画原作のVシネ感がたまらない復讐ノワール第2弾。元祖モムチャンであるクォン・サンウ頼みのスター映画になりがちだが、前作『神の一手』同様、それだけに終わらない独特な世界観が見どころ。クライマックスの百人組手ならぬ百人対局はもちろん、溶鉱炉での“『ターミネーター2』対局”や鉄道橋での“『スタンド・バイ・ミー』対局”など、「カイジ」入った珍妙なシチュエーションには、否が応でも高まる。とはいえ、主人公に必殺技のようなものがないこともあり、後味サッパリなハズシ具合も、どこかVシネ的。これを予算をかけ、やってしまう潔さに★おまけ。
碁バイオレンス『神の一手』のまさかのスピンオフ
囲碁勝負よりも肉弾戦が凄かった『神の一手』の主人公テソクが服役中に、壁越しに師事した謎の囚人グィスの物語だ。碁界の王者のせいで孤児となったグィスの復讐譚である。賭け棋士に才能を見込まれた少年が山寺で修行を積み、肉体を鍛錬する設定からもう韓流ノワール色全開! 囲碁勝負もそれぞれ凝っているし、100人組手風な勝負まで用意されていて、びっくり。賭けなのでヤクザが絡むのは当然だが、負けたら腕切断や碁石の重さで硫酸発射の碁盤には震える。韓国の碁界ってハードボイルド〜。40代とは思えないクォン・サンウの肉体改造は非常に立派だし、スタント無しで臨んだアクション演技もキレがある。次はテソクとグィスの勝負?