100日間のシンプルライフ (2018):映画短評
100日間のシンプルライフ (2018)ライター2人の平均評価: 4
物質主義やルッキズムの蔓延る現代社会を斬る痛烈な風刺コメディ
主人公はスマホ・ショッピング依存症のパウル、自分の容姿磨きと金儲けに余念のないトニー。IT企業を共同経営する幼馴染の親友同士の2人は、開発したスマホ・アプリが高値で売れたことから祝杯をあげるのだが、酒に酔った勢いで無茶な賭けをする。所持品も所持金も全て倉庫に預け、1日1つ必要なものを取り戻すというルールのもと、どちらかがギブアップするまで100日間過ごすというのだ。現代社会に蔓延る物質主義やルッキズムなどに批判の目を向けつつ、本当の幸せや豊かさとは何かを問うていく。テーマそのものは決して目新しくないものの、デジタル化やグローバル化に大きな疑問を呈する風刺の切れ味はなかなか鋭い。
少し前までスマホ無しで生活できていたのに!?
スマホ依存症の青年と親友が酒の勢いで、文字通り、裸一貫から人生をやり直すという設定が面白い。私だったらスマホをゲットし、Amazonで必要なものをオーダー? と、便利さに毒されている自分を反省しつつ、倉庫からものを取り戻しながら本当に大事なものに気づく青年たちと買い物依存症のヒロインを応援。まさに現代のおとぎ話だが、ニューノーマルを迎えた今の私たちが生活様式を見直すヒントもあるはず。原案のドキュメンタリーユニークだったが、映画版はコメディ調で笑わせてくれるし、現代人が直面するマテリアリズムについても考えさせてくれた。それにしても、スマホ無しの生活にはもう戻れないかも……。