ウェイティング・バーバリアンズ 帝国の黄昏 (2019):映画短評
ウェイティング・バーバリアンズ 帝国の黄昏 (2019)正義が必ずしも勝つとかぎらない悲劇
架空の帝国の物語だが、権力のある者がない者の人権を無視する、正しい主張に耳を傾けないという状況は、現実の世界で起こってきた、いや、今も起こっていること。その「悪」を、ジョニー・デップが、彼らしいエキセントリックさを放ちつつ、冷酷に演じている。登場時間は短いものの、そのインパクトはさすが。ロバート・パティンソンも良いが、せっかく彼を起用しただけの見せ場がないのが残念。最も演技の見せどころがあるのは、良い人なのに苦しい運命をたどらされるマーク・ライランスだ。沈黙の中でも見事な感情表現をする彼は、やはり今日活躍する最も才能ある役者ひとりだと確信した。シネマトグラフィーも美しい。
この短評にはネタバレを含んでいます