stay (2019):映画短評
stay (2019)ミイラ取りがミイラになる滑稽さ
招かれざる訪問者であったはずの“お役人”が、衣食住の順番に、山奥の古民家で暮す住民たちのペースに巻き込まれていく。住民たちの関係性や深夜に消える展開、立入禁止な2階の存在など、常に不穏な空気が流れるなか、今年公開作が続く石川瑠華の小悪魔的魅力が見え隠れ。とはいえ、決してホラーやサスペンスな展開にはならず、ミイラ取りがミイラになっていく滑稽さが、どこか微笑ましかったりも……。オチも含め、まるで演劇のようでもあるが、藤田直哉監督による新人離れした堂々たる演出や、室内の空間をダイナミックに捉えたシネマスコープはじつに映画的、という不思議な作品である。
この短評にはネタバレを含んでいます