JUNK HEAD (2017):映画短評
JUNK HEAD (2017)ライター2人の平均評価: 4.5
クエイ兄弟やリンチの影響も垣間見える圧倒的な世界観!
いやあ、本当に素晴らしいものを見せて頂いた。舞台は遠い未来。人類は遺伝子操作で長寿を得るものの、その代わりに生殖能力を失い、さらに謎のウィルス感染で人口が減ったことから、新たな生命誕生のヒントを探るべく、人工生命体が独自の進化を遂げた地下世界へと調査員を派遣する。シュワンクマイエルやブラザーズ・クエイの系譜に属するストップモーション・アニメ。さらにはリンチ版『砂の惑星』や『ヘルレイザー』、『不思議惑星キン・ザ・ザ』、ラングの『メトロポリス』までをも彷彿とさせるサイバーパンクなSF世界が圧巻!その壮大なスケール感も含めて、これをたった一人で7年かけて作り上げた堀貴秀監督の情熱と才能に脱帽する。
キュート不気味なクリーチャーたちをずっと見ていたい
映画の中には、そこで何が起きるかはあまり関係なく、ただそこに出現した世界にずっと浸っていたいと思わせる作品があるが、これもそのひとつ。立体アニメならではの、オモチャ感覚、作り物感覚。そして、クリーチャーの造形が象徴する、キュートだがそれだけではなく、少し不気味でちょっとマヌケなテイストが絶品。それでいて、この世界がどのようにして生まれたのかという物語は、画面を見ているとちゃんと伝わってくる。
この世界は、一人の人間が監督、原案、アニメーション、撮影、編集、美術監督、セットデコレーション、音響効果、映像効果、声の出演を手がけ、7年間の歳月をかけて創り上げたもの。それだけですでに偉業だ。