風が踊る (1981):映画短評
風が踊る (1981)ライター2人の平均評価: 4
ノスタルジックな台湾の風景と自立したヒロイン像が魅力
‘81年に製作されたホウ・シャオシェン監督の長編2作目がデジタル・リマスターで再登場。CMディレクターの恋人との結婚に踏ん切りがつかない女性カメラマンが、たまたま知り合った盲目の実直な青年に心惹かれていく。’80年代初頭の、どのかで素朴な台湾の街並みや文化がなんともノスタルジック!洗剤のCM撮影で馬糞に爆竹を仕掛けるってどうなのよ?とビックリするが、そんな大らかなユーモアもなんだか微笑ましい。なにより、古いしきたりが色濃く残る当時の台湾にあって、恋愛でも仕事でも他人の価値観に影響されず、自分自身が本当に望む道を選ぼうとする自立したヒロイン像も魅力的だ。
デジタリルマスターで蘇る台湾の映像で心を慰めて!
侯孝賢監督の初期作品だが、女性写真家シンホイのキャリアと恋に焦点を当てていて、甘酸っぱい展開だ。恋人と子どもの隠れん坊、シンホイの悪戯には気恥ずかしささえ感じ、交際もしていないのにプロポーズという恋愛観や背景に流れる流行歌などノスタルジック。目的もなく海外に行きたがるヒロインにイラッとする人もいるかもだが、当時の台湾が戒厳令下にあったことを考えれば納得だ。抑圧や恐怖から逃れたい気持ちが切ないし、彼女の思いを汲む青年の王子っぷりが素晴らしい!膨湖島や台北、鹿谷でロケしていて、二二八公園や松山空港の昔の姿が映る。台湾ロスの人は是非、懐かしい台湾の映像で心を慰めて!